Chain~この想いは誰かに繋がっている~
震える手を伸ばすと、棚が高すぎて届かない。

「これ?」

後ろから伸びてきた長い腕が、あっという間にDVDを辿りつく。

「love actuary?」

うんと、小さく頷く。


「ありがとう。これ、借りていくわ。」

手に持っていたDVDで、コツンと弱く、私の頭を叩いた小宮山さん。

不意打ち過ぎて、小宮山さんの事を、見る事ができなくなった。


その日、バイトが終わって、私は勉強の為に、DVDを借りた。

「店長、これ借りて行ってもいいですか?」

見せたのは、今度新作で発売されるもの。

「ああ、いいよ。お客さんに感想求められた時、答えられるようにしておきたいんだろう?」

「はい。」

と言っても、小宮山さんがこのDVDを借りるかどうかは、わからないんだけど。


「最近、熱心だな。」

「そうですか?」

あまり誉める事をしない店長に、初めて誉められた。

「入ってきたばかりの時は、ぼーっとしてて、仕事する気あるのかって思ってたけどな。」
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