Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「そのコメントは、入れない方がいいな。」

その時、突然聞こえる男の声。

誰?

もしかして、泥棒?

私の心臓は、一気に止まった気がして、ゆっくり頭だけ後ろに回転させた。


「周平!!」

いつの間にか、真後ろにあるデスクに、チョコンと座っている周平。

スラッと伸びた足が、脳内のアドレナリンを放出させる。

「アンケートの結果は、あくまで客観的に。私的な意見は、書きこまない。ですよね?夏目主任。」

「おっしゃる通りです。真野主任。」


いつも部長から指摘されていること。

しかも、周平とお揃いで。


「夏目、残業?」

「うん。」

そう返事をして、私はまたパソコンに向かった。

「時間、かかりそう?」

「うん……もしかしたら。」

今日は家に帰っても、何もすることないし。

そういう時に、できる仕事はしておく。


「じゃあ、今日もダメかな。」

「えっ?何?」

私の言葉に、周平が恨めしそうに見つめる。
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