Chain~この想いは誰かに繋がっている~
それを持って、人も少ない地下鉄へと乗り込む。

座席は空き放題。

その中でも、一番端に私は腰を降ろした。


『ありがとな。』


小宮山さんの少し遠慮しがちな笑顔が、思い浮かぶ。

あの笑顔が好きだった。

本気で、映画の事を聞いてくる小宮山さんが、大好きだった。


でも、よく考えてみれば、私、小宮山さんと付き合ってなかったんだし。

思い出も、一か月分しかないし。

うん、しばらくすれば、忘れられるよ。

そして、また好きな人ができるんだ。


小宮山さんよりも笑顔が素敵で、

小宮山さんよりも優しくて、

小宮山さんよりも

小宮山さんよりも……


「……っ」

ああ、ダメだ。













私、相当な勢いで、

小宮山さんのこと、好きだったみたい
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