Chain~この想いは誰かに繋がっている~
振り向いて、私の腕を掴んだ人を見たけれど、全然知らない人だった。


「そんな荷物持って、どこへ行くの?」

真剣な顔。

「まさか、いなくなったりしないよね?」

目の前にいる、私の腕を掴んだ人は、見た事もない真剣な顔で、私の顔をじっと見つめた。

「あの……」

私の混乱した様子を見た、その人はようやく、私の腕を離してくれた。

見れば、私と同じ年代くらいの、サラリーマン風の男性。


なんだろう。

なんでこの人、私にそんなこと言ってくるんだろう。


「あの…お節介もかもしれないけれど。」

その男性は、緊張した感じで、少しだけ私に近づいた。

「どんなに辛いことがあっても、乗り越えられないことは何一つないと思う。」


えっ!?


「影で努力した結果は、必ず現れるよ!!だから、ここで逃げちゃダメなんじゃないか?」


ウソ…

なんで、私知らない男の人に、説教されてんの?
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