Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「はい。私、毎週この時間に、シフト入ってるので。」

「そうなんだ。夜の仕事は大変だね。」

「はい。でももう、慣れました。」

と言いつつも、俺には、毎週このお姉ちゃんと顔を合わせている記憶がない。


「お会計、1,000円になります。」

「はい。」

ポケットから、二つに折った千円札を取り出して、お姉ちゃんに渡す。

「こちらチケットですね。18:20からの回になります。」

「ありがとう。」

スッと帰ろうとして、俺は余計なことに、また気づく。


このお姉ちゃん、化粧を直さないで来たのか、鼻の上が油でテカッている。

おいおい。

気にするな、構うな、無視しろ、俺!!

そんなこと言ったって、またお節介なだけだ。


「あの…どうされました?」

いつまで経っても動かない俺に、案の定店員のお姉ちゃんが、顔を覗き込む。

「あのさ…」

「はい。」

眉毛の辺りをポリポリと掻く。
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