Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「えっ?」

私は、顔をしかめる。

「結婚、決まったんだよ。来年の6月に、式を挙げる。」

そのまま、時間が止まったような気がした。


「相手は?」

「ウチの会社の受付やってる、神崎愛美って子。」

「へえ……」

確か私達と、そんなに年齢も変わらないはず。

黒髪で、落ち着いた感じの子。


「彼女、しっかりしてんだよ。家事とか一通りできるし。その上、遊ぶ金削って、実家に仕送りまでしてんだぜ?」

周平の口調は、やけに弾んでいた。

「お父さんが早くに亡くなって、お母さん一人で、愛美と弟さんを育てたんだってよ。弟は大学の2年生でさ。」

知らない間に、彼女を呼び捨てにした事に、周平は気付いていなかった。


「結婚すれば、その分家に入れる金も増えるしな。愛美の家族も、少しは楽になるさ。」

相手の事を、自分の事のように考える。

周平の優しさ。
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