Chain~この想いは誰かに繋がっている~
そんな事を考えた帰り道は、いつもよりも、足取りが重かった。

世の中には、こんなにも男と女が溢れているのに、出会う確率は奇跡に近い。


少なくても、俺はあの子を見つけた。

このいつも、何気なく乗っている地下鉄で、だ。

地下鉄の扉が開いて、少し俯き加減に、座席の前まで歩みを進める。


そこに、いた。

俯き加減の俺の視界の、真ん前に、また大量のDVDを抱えて、座りながら寝ている。

くそ~。

やっぱり俺は、この子と仲良くなりたい。


俺は映画館派で、彼女はDVD派かもしれないが、同じ映画好きって言う共通点があるじゃないか!

絶対、俺達気が合うって。

そんなふうに、自分の頭の中で叫んでいたら、彼女の目から、流れ出るものが見えた。


ん?

涙?

えっ!?

泣いてんの!?

なんで????


周りに変な人だと思われないように、リアクションを抑え、俺はじっと彼女を見た。
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