Chain~この想いは誰かに繋がっている~
彼女を好きかもしれないと思った俺に、小さな勇気が生まれた。

“今度彼女に会ったら、迷わずに声を掛けてみよう。”

そんな勇気。

しかもその日は、意図も簡単に、翌日にやってきた。


通勤電車でいつも会う彼女に、休日会えたんだ。

ラッキー。

俺は心なしか、ウキウキしながら、彼女に近づいた。


だけど、そのウキウキは数秒後、打ち砕かれた。

休日にしては、やけに多い荷物。

旅行?

だけど、旅行に行くには、あまりにも普段着じゃないか?

どんどん、俺の胸騒ぎは大きくなっていく。


まさか……まさか!!

俺は咄嗟に、彼女の腕を掴んだ。


「ヒャッ!」

彼女が驚いた声を出す。

「ごめん!」

俺は、無意識に謝った。


振り向いた彼女の表情は、『あなた誰?』って感じ。

「そんな荷物持って、どこへ行くの?」

ストレートな質問。

「まさか、いなくなったりしないよね。」
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