Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「ダメなのかな、俺達。ここから始められないのかな。」

俺なりの、精一杯の抵抗。

そして、彼女から返ってきたのは、強い抱擁だった。

もしかしたら……


「ごめんなさい。」

でも彼女から聞こえてきたのは、裏腹の言葉。

「ごめんないさい…ごめんなさい……」

彼女は繰り返し、そう言った。

何度も何度も、『ごめんなさい。』って。


完敗。

俺の気持ちは、彼女に伝わらない。

それでもよくなった。

だって、こんなに謝ってるんだ。


「もういいよ。わかったから。謝る必要なんてないんだ。俺が勝手に引き留めたんだから。」

彼女の耳元で、そう優しく囁いたつもりだった。

でも実際は、自分に言い聞かせていたのかもしれない。


「ごめんなさい。」

「ほら、また謝る。」

すかさず入れた返事。

彼女の笑顔を掴むには、好都合だったようだ。
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