Chain~この想いは誰かに繋がっている~
「それにしても、不思議なもんだよ雨の日にさ、俺、傘忘れちゃって。会社の前で雨宿りしてたら、『途中まで一緒に行きますか?』って、愛美が傘を差し出してくれたんだ。」


聞かなくてもわかる。

周平がどれだけ、愛美さんを心の底から愛しているのか。

見なくてもわかる。

周平がどれだけ、愛美さんとの結婚を待ち遠しく思っているのか。


「よかったじゃん!」

私は、周平の肩をポンっと叩いた。

「おめでとう。今度、私にも会わせてよ。」

「愛美を?」

周平は嬉しそうに、驚いて見せた。

「だって見たいじゃない?周平をここまで惚れさせた、ウチの会社の受付嬢を。」

「ハハハッ!!」


久々に見た。

周平のクシャクシャの笑顔。


「あ~あ、周平が結婚かぁ。実感湧かないな~。」

「だろ?俺が結婚だぜ?笑っちまうよな!」

周平に釣られて、私も思いっきり笑う。

「もう、私もそんな歳か!」
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