Scarly Rules
ドンチャン騒ぎ
(ドタドタドタ…)
「お、お待ち下さいませ!ゆか様と恭平様はまだお休みで…」
(ガチャッ)
…。
「…あ。」
いてもたってもいられなくて
執事さんにゆかちゃんの居場所を聞いた俺は、制止の言葉を振り切り 全速力で走ってきた。
でも。
「…やはり。まだお休みではないですか。マサ様、お願いですから 今少しお待ちになって下さいませ。」
ゆかちゃんと恭平は
しっかりがっつり爆睡してた。
(ガチャ)
から、仕方なくそのまま部屋を出る。
「あの…すいませんでした。」
朝っぱらから廊下を走り回ったせいで
屋敷の使用人の方々には迷惑をかけた。
「あ、いえいえ。お元気なのは良いことです。お気遣いなく。わたくしめ等はどちらかと言えば…懐かしい想いをさせていただきましてございました。」
目を細めて語るこの使用人は
きっと長い間ここに仕えてきた玄人なのだろう。
「幼き頃の恭平坊っちゃまは、とにかく元気でわんぱくで。毎日毎日走り回っておられました。今は亡き旦那様や奥様も 当時は随分と手をやいておられました…」
恭平の寝室を後にした俺は
気分転換でもと、中庭のテラスに案内されてきた。
「そっか。恭平は中学ん時に両親揃って一気に亡くしたんだもんな…。」
そう。で、恭平の両親が亡くなった丁度その頃 俺達は出会って バンドを組んで。
懐かしいなぁ…。やっぱ。
あの頃の恭平はまだまだ純粋だったのに。