Scarly Rules
空
「ねぇ恭平?外の世界って…今どうなってるの?」
残酷なほどに広い空を見上げて
ゆかがポツリと呟くように聞いてきた。
「外って…この柵の向こう?」
「うん。ほら、私 ここに来てからほとんど家から出てないでしょ?だから…。」
知りたいか。やっぱり。
「何が知りたい?外の。」
「ん〜とね、あ!流行ってる服とかギャグとか…あとヒットしてる曲とかも知りたいな。テレビ観れないからさ、何もわかんないじゃん?」
そう。俺は家にテレビを置いてない。
というかテレビの【電波】を引いてない。
DVD観たりゲームしたりは出来るようにしてあるが コイツを外に触れさせたくなくて わざと電波を断っている。
「んなもん知らなくても生きてけるだろ?」
無邪気な興味を
いとも簡単にぶった切る俺。
相変わらず
こういうとこが冷たいよな…我ながら。
「そ、そう…だけどさ…」
明らかに凹んだゆかが目を伏せる。
あぁ、愛おしい。
こうやってお前は外を諦めていく。
諦めの先には俺が…
そう。俺だけがいる。
俺だけがお前の世界。
後ろめたさが無いといえば嘘になるだろうが
それでもいい。
俺の心は治せやしない。