Be yourself!
「あ、いや……なんでもねえ」
多聞さんは首を横に振り、それから素の表情に戻ると、何事もなかったかのように足を組み、テーブルの上にばっさーと楽譜を取り出して、ペンを走らせ始めた。
む……。なんだか怪しい。
ごまかされた気がする。
「多聞さん、何か隠してません?」
「何も」
「でも……今明らかに変でしたよ」
「あんたの気のせい」
「――」
やっぱり怪しい!
それから私は、あれこれ手を尽くして多聞さんの口を割らせようとしたのだけれど――
するりするりと避けられて、そのうち真生を除くほかのメンバーが来たりして、結局何を隠されたのかを知ることはできなかった。