Be yourself!
そのくらい人目を引く、オーラのようなものをまとっている人だった。
「――目をそらさないね」
彼はふっと笑って、瞳を糸のように細める。それを受け、奥田さんがため息をつきつつうなずいた。
「偶然だけど……その、先日話したのが、彼女よ」
不本意、という雰囲気で赤いセルフレームの眼鏡を押し上げる彼女。
「へえ、君が例のイノシシ!」
また言われてるー!
思わず眉が八の字になる。
「いやはや、そうは見えないけど……」
金髪の彼は、ほっそりした背中を丸めてクックッと笑うと、そのまま軽やかに階段を下りてきて、私の横を通り過ぎなら、やんわりと微笑んだ。
「またね」
「あ、はい……」
とりあえず頭を下げる私。