Be yourself!
「一柳要!」
私が指をさすのと、彼が片腕でエンジェルを抱き上げるのはほぼ同時だった。
「ああ、びっくりした……。ほんの数秒目を離したらもういないんだから……心臓止まるかと思った」
彼は愛おしむように、抱き上げたエンジェルと額を合わせると、ホッとしたようにため息をつく。
「わたあめー!」
「うん、君が食べたいって言ってたわたあめだよ。でも、ママには内緒だよ? 僕が買ってくれたって言っちゃだめだよ、わかった?」
「はーい!」
エンジェルから、さっきの泣きそうな雰囲気は一気に吹っ飛んでいた。
見れば彼は、片手にわたあめが入った袋を持っている。
なるほど、あれをエンジェル……マリカちゃんに買ってあげてる時に一瞬手と目を離しちゃったってことなんだろうか。