Be yourself!
「いや、せみいらないよーありがとうねー!」
「あらーそうなのー」
ちょっぴり残念そうなマリカちゃん。
固辞する私を見ると、薔薇色の唇を尖らせて、そのままポケットに仕舞い込む。
っていうか生きてないよね。抜け殻だよね……。
いや、それでも十分気持ち悪いけど。
「あっ、そーだあ! きゃなめ、いる?」
そこで今度は、マリカちゃん、ポケットに手を入れたまま、一柳要を見上げる。
「ううん、今度にしておく」
「えー」
「それはお父さんにあげなさい」
そして一柳要は、ひょいっとマリカちゃんを抱き上げると、スタスタと歩き始め、立ち止まり私を振り返った。
「律、待ってるんだろ?」
「あっ、はい!」
――――……