Be yourself!
またね?
またねってなんだろう。
彼の背中に視線を向けると同時に、
「律(りつ)、まだ話は終わってないわよ、本気なの!?」
上から慌てたように奥田さんが駆け下りてきた。
「本気だよ。さっき話したことが全てだ」
リツと呼ばれたその人は、穏やかにほほ笑んで首を横に振る。
それを受けても、奥田さんはなお感情的にぎりぎりと唇をかみしめ、眉根を寄せた。
「そんなの、納得できないわよ!」
うそでしょ……冷静でクールな奥田さんが、こんな風に声を上げるなんて。
驚き、心臓がドキドキと鼓動を早め始める。
話の内容はわからない。だけどこれは、一介の新入社員の私が、聞いていい話じゃないような気がする。
だから、この場から立ち去りたかったのだけれど、ちょうど奥田さんとリツの間に挟まれた私は、身動きが取れなくて。