Be yourself!
いっそのこと、はいすみませんね、と間を抜けていくしかないのではないかと身構えたその瞬間。
「誰が何と言おうと、【赤と黒の蜘蛛】は解散だ。もう決めたんだ」
冷静に言い放ったリツのその言葉は、奥田さんの顔色を真っ白に変えて――
そして私を絶叫させた。
「ええーっ!! 嘘でしょー!?」
腹式呼吸で鍛えられた私の声が、ウワワーンと余韻を残しながら廊下に響き渡る。
「うわっ!?」
リツ……御子柴律(みこしばりつ)が、隣でビクッと体を震わせ、そして奥田さんはまるで衝撃波でも受けたかのようによろめき、「奥田さん、危ないっ!」と、御子柴律が慌てて彼女を抱きとめる始末。
「イノシシガール、声、大きいね……」
御子柴律が呆れたように私に目を向ける。
「ごっ、ご、ごめんなさい、あの、すみません、まさか【赤と黒の蜘蛛】の御子柴さんだって気づかなくて、その奥田さんも、すみませんっ!」
慌てて膝小僧におでこがくっつきそうなくらい頭を下げた。