Be yourself!

「おい……」



池中が肘で私の体を押してきたけれど、私はテーブルの下で池中の椅子を蹴り返しながら、言葉を続けた。



「スケジュール的に第一線で活躍しているアーティストが難しいのであれば、まだメジャーデビューできていないアーティストを集めてはダメでしょうか!」



そうだ、そうだよー!

ライブハウスのチケットを売るのも大変なこのご時世。

たとえチャリティーイベントとはいえ高天原学園は日本を代表するセレブ学園なんだし、子供たちに聴いてもらえるなんて、すっごいチャンスなんじゃないの?


ものすごい名案を出した気になって、私はかなり期待に満ちた目で一ノ瀬氏の反応を待つ。

けれど、

「藍田。いくらチャリティーだからって、誰でもいいわけじゃない」

興奮した私を抑えるように、池中が意見を出してきた。



「目の肥えた人間がたくさん集まるからこそ、同時にもろ刃の剣にもなりうることを考えたほうがいい」



< 96 / 129 >

この作品をシェア

pagetop