☆SUKI SAKE☆
そっと手で目を覆われ視界が見えなくなる。その瞬間、あたしの唇には栗原くんの唇が触れていた。両手で思いっきり栗原くんの体を突き飛ばした。



「あれ?キスくらい何ともないでしょ?僕が受けた傷に比べたら」



キス、された。しかも、しかも矢野と同じように。ゴシゴシと唇を拭う。


矢野しか知らなかったのに、矢野としかしたくなかったのに・・・



「葛西さん、忘れないでよ!君がしたことは僕を否定することだったんだよ。おかげで僕は彼女もできない。健全な男子なのにね。だからさ、葛西さん。少しでも僕に悪いと思うのなら自分の手でその、綺麗な指輪を外してよ」



悪いと思ってる。申し訳ないって思ってる。出来ることならなんでもする。謝れって言うなら謝るし、栗原くんの高校に行って誤解を解けと言われればそれもする。


でも、この指輪を外すことだけはしたくない。



矢野を失いたくない。
矢野と離れたくない。
別れたくない。


矢野がすき、好きで好きでどうしようもない。
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