☆SUKI SAKE☆
追いかけてきた矢野があたしに並ぶ。昨日はみんなが心配してメールをくれた。


本当のことなんて言えるはずもなくて
『楽しかった。今日は遊び疲れたからまた明日話すね』と一斉送信で返した。


ごめん、本当のことは言えない。


「しぃ、昨日本当に何もなかったのか?」


「えっ?な、なんで?何もないよ。楽しかったよ。唐揚げ!そう、唐揚げが美味しくてさあ。一人でむしゃむしゃ食べた」


「・・・そっか。でさ、あいつは何もしてこなかったのか?その、しぃの・・・」


「え?あっ実は来てなかったんだ。せっかく指輪までくれたのに昨日は女子会みたいで女の子ばかりだったんだ。って矢野?」



自転車を漕ぎながら話す会話だって不自然さはないはず。それなのに信号で止まると視線を感じて矢野を見ると少しだけ悲しそうな瞳をしてあたしを見ていた。


気づかれた?そんなわけない。だってあたし普通に会話してるはず。ニコッと矢野に笑いかける。


お願い、そんな顔しないでよ。笑ってよ、矢野が笑ってくれないと切ないよ。
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