想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
その後、あいつは出掛けて行った。


まるで、この状況から逃げるように……。







「海?どした?何か、今日変だよ?」


彼女の部屋へ行ってからも、相変わらずボーッとしてしまう、俺。


そんな俺を気遣う彼女。


こんなん、別れ話してる状況じゃねぇよ。


そこまで、頭も口も、回らねぇよ。


姉妹、仲が良いのは、前から彼女に聞いてた。



あいつは……


一人で、苦しんで居たのか?


だから何も言わず、首を必死に振っていたのか?


もし……


俺の勘違いじゃ無いなら、


お前は、すげー辛かったんだよな?


大事な姉ちゃんと、俺に挟まれて……







ごめんな?










それから俺は、急用を思い出したと嘘をつき……


彼女の家を出た。








< 102 / 320 >

この作品をシェア

pagetop