想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「別れて欲しい。」


海が、そう言った瞬間……


あたしは、目をギュッと瞑り、俯いた。


耳を塞ぎながら。



「実来……。ごめんな。ちゃんと、聞いて?」


その声に、あたしは首を振った。


「聞きたくない……。」


自分でも、我が儘言ってるって、わかってる。



みんな、言うよね。


好きな人の幸せを願うって。


あたしには、できない。


いつか、あたしを想ってくれるって信じたい……



でも……



「実来……頼むよ……。」


頑張るの、疲れちゃった。







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