想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
あたしは、そっと目を開け、ゆっくりと顔を上げた。


「う……っく……ッ」


すでに涙は、止まらない状態。



「ごめんな。実来。俺……どうしても、お前の事、想え無いんだ。」



あたしは、何も言えない。


とても喋れる状態じゃ、無くなってる。 


「うぁ……か……い……ひっく……」


それでも、無理矢理声を出し、彼の名前を呼ぶ。


もう、呼ぶ事の無くなる、彼の名前を……





「お前には、ホントに、感謝してるんだ。俺の気持ち、動か無くても、それをわかってても、ずっと耐えて傍に居てくれた。」


海は、しっかりとあたしの目を見つめて一言一言、噛みしめる様に、話した。





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