想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
――16時50分。



「こんにちは〜。」


「神崎様!いらっしゃいませ!どうぞこちらへ。」


あれ?


「今日はお一人ですか?」


いつも一緒の志保様の姿が、見当たらない……。


「ええ。……実は……」


ん?


何か、言い辛い事なのかな?


「今日は……内緒で来たんですよ……。」


「な、内緒……ですか。」


「は、はい。」


「何でまた……?」


あたしの疑問をよそに、俯き加減で、照れたように笑ってる……。


な、なに……?


まさか……


喧嘩したとかじゃ、無いよね!?


あたしが首をかしげ、神崎様の様子を伺っていると……




「サプライズ……ですか!?」


えぇ!?


突然の声に横を見ると……


木下サンの姿!



「あぁ、木下さん!わかっちゃいましたか?」


えぇ!?


正解なの?


「突然、失礼を致しました。……たまに、いらっしゃるんですよ。どちらか一方が、サプライズを提案される……。」


「サ、サプライズ……かぁ。」


新人のあたしには、全く気付かなかった。


「すみません!気が付きませんで!!」


あたしは、頭を下げた。


気付いた木下サンは、すごいと思ったけど……


この業界では、知らなかったあたしが普通じゃ無いんだと思ったから。



「いえいえ!気にしないで下さい!……ちょっと、言い辛かったもんですから……。何か、照れ臭くて……。」


ほんのり頬を赤らめ、ニコッと笑う神崎様を見て、


志保様は、幸せ者だな……って思った。







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