想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「木下サン!ちゃんと横になっててくださいよぉ!」


木下サンの体調は、全く良くなって無い様子……。


あたしは、木下サンの頭を枕へと促した。


「食べ物と薬買って来ましたよ。準備して来るから寝ててくださいね?」


あたしは、小さな子をあやす様に言った。


「……むら……」





「どうかしました?」


木下サンは、寂しそうな目であたしを見ている。


どうしたんだろ……


相当気分良くないのかな?


「お前に……ゴホッ助けて貰ったはずだった……のに……ケホッケホッ……目ぇ覚めたら、居ないから……」


木下サンは咳き込みながらも、必死に喋っている……。


話すのが辛そう。

息苦しそう……。


喋るのを、やめさせたいのに……


なんだか


真剣な目をしてるから……。


あたしも真剣に聞く事にしたんだ。



「俺……熱でボケちまったのかと……ゴホッゴホッ……帰る途中で……お前の幻覚でも見たのかと……思っゴホッゴホッ!」


「木下サン!大丈夫!?」


あたしは、思わず……


横向きに寝ている木下サンの背中を擦った……。


「おう……わりぃ……」


木下サンの、その一言で、あたしは自分のしてる事に気が付いて


手をパッっと離した。


やばい!


あたしってば勢いで……


今更恥ずかしくなってきたよ〜


てか、病人の背中を擦っただけで……


そんな意識する事じゃ無いのに……


うわ〜


何か、すっごい恥ずかしくなっちゃったよぉッッ……!





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