想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
星……来……


そう、星来のだ!


絶対に!


間違えるはずが無い!


だって、これは……



一見普通のハンドタオルなんだけど……


隅っこに、イニシャルが刺繍されてるんだ。


S.K


一緒に買い物に行った時に買ったから、間違い無い。


ドクドクドクドク……


まさか……


星来と海って……




ドクドクドクドク……


まさか……ね。


よりによって、そんな事は……


無い……よね?



あ、たまたま同じイニシャルの人とか?



いや……


それは、いくら何でも偶然過ぎる。



その店のオリジナルだって書いてあったの、覚えてる。




会社の人達と、みんなで来たとか……?



うん、きっとそうだよ……。


二人っきりで、部屋で会うなんて……


そんな事は絶対無い……よ……ね。



ドクドクドクドク……



自分に言い聞かせても


心臓は落ち着きを取り戻して、くれない……。



海は……


昔から、自分の部屋に大勢の人達に来られるのが、嫌いだった。




あたしは、気付いたらハンドタオルを鞄にしまっていた。




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