想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
あたしは、キュッっと唇を噛み締めた。



「ごめんね。そんな余裕も無くて……。

ほ、ほら。あたし、人の看病なんて、ほとんどした事無いし……ね。」



あたしは俯いたまま、チラッっとお姉ちゃんの表情を伺った。


すると……



「……ふぅ―――――っ。」






今度はため息……?



「星来、ごめん。」


へ?


……突然の謝罪に、びっくりした。


「え?な、なんで……謝るの?」



「いや、なんか……あたし、興奮しちゃって……。

そんな事言う権利なんて、無いのにね。

あたし、ただの元カノだもん、ね。」



お姉ちゃん……。



悔しいだなんて思って、ごめんね。


お姉ちゃんも、本当は分かってるんだよね……。


でも……


別れても、気持ちは変わって無いから……



気持ちが先走って、怒ってしまっただけ……なんだよね。




あたしなんて……


本当の事、言えないくせに……



嘘つきなくせに……



悔しがる権利なんて、無いよね……。





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