想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「大丈夫?」


木下サンはいつもと変わらず、優しく聞いてくる。


「大丈夫ですよぉ!」 


笑って答えた。


もちろん、作り笑い…。


「目ぇ真っ赤だぞ。」


やば…泣いてたの、バレたかな?


――ポンッ。


頭に手を置かれた。



う……っ!



そんな事されたら……


せっかく引っ込んだ涙が…………。


「涙目……。」



泣きそうになってたのを、指摘された。



「そんなこと…無いですッ……。」



――クスッ。



え!?

今、笑われた!?



ムカッときて、木下サンを軽く睨みつけた。



「あ、ごめんごめん!なんか、可愛いかったからさ。」



へ!?


人が真剣に落ち込んでるのに!




「ねぇ、木村サン。」



「は、はい!?」



なんだろ……。

木下サン、また切ない顔してる……。



「携帯教えて?……ちょっと、今度ちゃんと話したい事がある。」


「え!?な、なんですか!?」


突然そんな事言われてビックリした。


「だぁから、今度…な。」


「は、はぁ。」



未だ、木下サンの手は、あたしの頭の上。


と、思った瞬間―――。








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