想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
北川サンは、車を走らせると……


「ふふっ♪」


なぁんて笑ってる。



「な、なんですかぁ〜??」


あたしは照れて真っ赤な顔。


「ん〜?なぁんか、可愛いなぁって思って。」


可愛い!?


ほんっと、この人は突然意味不明な事を言う……。


「な、何言ってるんですかっ!」



「いや、イイ感じだなって。あなた達。

くっつきはしなかったけど……イイ距離保ってるわね。」



やっぱりこの人には……


何でもわかっちゃうんだなぁ。



「まぁ……はい……。あたし、今……ある意味幸せなんです!」



そうだよ。


あたし……


きっと今、幸せなんだよ。


木下サンとの、この距離で……


充分幸せ。




「そっか!今日の日にそう思える状態で居てくれて良かった!

この仕事は、自分がどんな状態であろうと……

笑顔で居なきゃいけないからね。」


北川サンは、サラリとそう言った。


そうですよね。



ましてや、おめでたい席で作り笑顔なんて



絶対ダメですよね。




北川サンの様に、もっと強くなりたい。


どんな事が有っても、お客様に心から笑えるようになりたい。



この仕事を、ずっと続けていきたいから。




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