想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
1時間掛けてようやく到着。


あたし達は、早速中に入る。


「こんにちは。ウェディング・カレンです。今日はお世話になります。」


フロントでそう挨拶した北川サンに続き、あたしも頭を下げた。






案内されたのは、従業員用の個室みたいな所。


そこへ荷物を置き、あたし達は新郎新婦の待合室に向かった。


ここからは、北川サンは一切ノータッチ。



全てあたしが先導きってかなければいけない。




――コンコン!


「失礼します。」


待合室のドアを開けると……


「こんにちは。」


そう言って、幸せそうな笑顔を見せる二人の姿。


「わぁー!綺麗!!

志保様、ホントに綺麗ですっ!」


フワフワのホルダーネックの真っ白なドレス。


志保様は、本当に似合ってる! 



「ふふっ。ありがと、木村さん。」


ホントにホントに幸せそうだなぁ〜。 



「あ!……神崎様、志保様。本日は誠におめでとうございます!!」


志保様のドレス姿に見とれてて、お祝いの言葉言うの、忘れてた……。



「「ありがとうございます!!」」


ふふっ。


相変わらず、息ピッタリたなぁ。


「……では、お式と披露宴、楽しみにしていますね。失礼します。」



この待合室は、新郎新婦が、式までの二人っきりの一時を過ごす場所。


長居してはいけない。



気付けば……


お式開始まで、後15分。


あたしと北川サンは、チャペルへと歩き出した。





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