想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
扉が開き、腕を組んだ二人が深くお辞儀をした。


そして、ゆっくりと歩き始める。



お色直しをした志保様は、濃いピンクのドレスを着ている。


ウェディングドレスの時のフワフワ感は無く、体のラインが綺麗に出ている。



ピンクなのに、大人らしくシックなドレス姿。


これも、とっても良く似合っている。



美人さんは、何を着せても美人さん。


やっぱり見惚れてしまう。



二人は会場内を上手く回り、新郎新婦の席に近づくと……


さっきあたしが置いた、台車の所へ行き、みんなの方に体を向けた。



きっと段取りでは、このまま席に着くはずだったんだろう。



志保様は、あからさまに


“何?間違って無い?”


って表情で神崎様を見上げてる。



ふふっ♪



サプライズなんだから。



その表情、見せてくれなきゃね。




プツっとアップテンポの曲が途切れると


みんなの拍手も鳴り止んだ。




そして……



小さな音から、段々とボリュームが上がっていく



オルゴール調の




“世界にひとつだけの花”




照明は、ゆっくりと落ちていく……。




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