想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「もちろん……お姉ちゃんの彼氏だなんて、知らなかった。

だから……単純に、この人に想われたい……って、思ってた。

でも、ある日……

木下サンに、昔の彼女の話を聞いて……


お姉ちゃんが話してくれた、彼氏の話と同じだって……気付いた。」


「ねぇ、ち、ちょっと待って。

海が……自分で過去を打ち明けた……の?」


お姉ちゃんは血相を変え、聞いてきた。


「え……うん。」


あたしがそう答えると……


「そう……めずらしい。」


何を思ったのか……また俯いてしまう、お姉ちゃん。



「……それからは、あたしにとって木下サンは……

想われたい人から……

想ってはいけない人になった……。」





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