想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「あたしは……お姉ちゃんに、とにかく幸せになって欲しかった。

それを心から、望んでた。

だけど……木下サンは、何も知らず……

あたしと自分の彼女が姉妹だなんて知らずに……

あたしを……


好きだと言った……。」


お姉ちゃんが、パッっと顔を上げた。



「は!?海が!?星来に!?」


「うん……。」



「それ……あたしと別れる前に!?」



「……うん。」



お姉ちゃんに、怒りが芽生えるのが分かる。



「何それ……あんた達二人は両想いで……あたしは邪魔者だったってワケ!?

こそこそ付き合ってたってワケね!?!?」



「ち、違う!!そうじゃ無い!!」


――バァンッッ!!



お姉ちゃんは、テーブルをおもいっきり手の平で叩いた。



完全に、怒ったんだ。



「何が違うのっ!?

あたしが2年間いくら頑張っても、ちっとも振り向いてくれなかった海が……

なんで出会ったばかりの星来を好きになるのっ!?


そんなの……おかしいッッ!!」


やば……


あたし、泣きそうだ……。


泣いちゃ、ダメ……!



あたしは、キュッっと唇を噛み締めた。



「お願い、お姉ちゃん!あたしの話を聞いて!?」



お姉ちゃんは、黙っまま


テーブルの上で作った握りこぶしを


小刻みに震わせている。



「あたしはその時、木下サンを拒んだ!

理由は言わなかったけど……

でも……、うちで偶然遭遇した時に

木下サンは、全てを理解して……納得してくれた。

あたしも木下サンも……

お姉ちゃんを悲しませる様な事、したくなかったから……。」



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