想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
「お待たせ致しました。
近場での式場は3件ございました。

こちらが、資料です。」


「ありがとうございます!」


「あと、少し距離がありますが、こちらの2件も良かったらご覧くださいね。」

「ハイ!」


さてと……。


「では、席を外しますので、何か質問等ございましたら、お声をお掛けくださいね。」



そう言ってあたしは一礼をしてから、席を立つ。


こういう時間は、お客様達が好きな様に意見を出せるように、目の前に居座らない。


あたしは、木下サンと、山口サンが座る、店内の社員用テーブルに向かった。


ここでは、式場や衣装、引き出物などの資料が、たくさん置いてあり、それをチェックしたりする。


まぁ、言ってしまえば、お客様が居る時の時間潰しの場所なんだよね。


大事な事務作業は、事務所でするし。



「初めてのわりに、すごくイイ感じじゃーん♪」


席に着くなり、山口サンがコソコソっと言ってきた。


「ホントですか!?
内心、かなりドキドキですよ〜///」


あたしも、コソコソっと返す。


「え〜。全然大丈夫だよぉ!

もっと自信持ちなよ〜。
ね?木下さん!」


う……

木下サンに振らないでぇ〜!

「お?……おお!

やっぱ俺のお陰だろ♪」


もちろん、木下サンも、小声で、コソコソ話す。


「も、もちろんですよ……。」


「なぁんだよ〜。お前、俺のお陰だと思ってないだろぉ。」


ふざけて言い合ってると……。






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