想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
木下サンは止まる事なく、歩き続ける。


無言のまま。




「あ、あの……木下サン?」


あたしが、声を掛けても、振り向こうともしない。


ひたすらあたしの手を引っ張り、歩く。





「き、木下サン!!」


今度は、さっきより強い口調です呼んでみた。



すると、ようやく足を止め、振り向く木下サン。


その顔は……


こ、怖ッッ!


あきらかに、怒ってる!


「あ、あの……えと……

意味がわからないんですが……。」


あたしがそう言うと……


――グイッ


!!



あっという間に木下サンの腕の中……。



「バカヤロ……

そわそわして帰ったと思ったら……男と二人で会って……あんな事されて―…… 泣いてんじゃねぇよ……。」


木下サンは小さな声でそう言いながら、あたしを抱きしめる力を強めた――。







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