想われたくて…‐姉と私とあの人と‐
――ピンポーン♪


俺は、少し汗ばんだ手で、チャイムを鳴らした。


「はぁい、どうぞ〜♪」


中からは、嬉しそうな彼女の声。


別れ話をしに来たなんて、思って無いんだろうな。


「よぉ。お邪魔します。」


俺は、笑顔で挨拶をした。


たぶん、引きつった笑顔。


俺は、屈み込んで、靴を脱いでいた。


すると……


誰かが、階段を降りる音。


平日だから、誰も居ないと思ってた。


靴を脱いでから挨拶しようと、足首に少しかかるくらいのスニーカーの紐を解いていた。







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