森羅の世界

出会い

１
朝から日差しがきつい、六月だというのに。今日は一段と暑くなりそうだ。いつも通り家を出て、そのまま歩き出す。夏は嫌いだ、そういっても夏がなくなるわけではないが。予想通り激しい日差しが肌を刺激してくる。朝でこれなら昼はどうなることやら。家と学校の距離は近い、幸い今日は体育も無いから我慢しよう。

　家を出て１０分程度で学校につく、教室の黒板を見ると一時間目は音楽らしい。もうすでにセーラー服の襟が汗で軽く湿ってきているので冷房の効いている音楽室での授業は助かる。

　初夏の風が窓から流れてきて、改めて夏を実感する。

　もうすぐほかの人も登校してくる時間だな、と無意識のうちに考えていた。


慌ててもう一度階段を下りてみても、やはりここは三階だ。不可思議なことにさっきまで聞こえていた運動部の掛け声が微かに聞こえていたのに、今は静か過ぎて気持ち悪い。何が起こってるのか全く分かんない。
　本当にここは学校なの？
　そこすらわからないほど、気味が悪いほど人の気配がない。教材室に置くはずだったプリント達を足元に置いて駆け出した。
　
―なんで！？なんで誰もいないの！？

　無音の状態から鳥の声と楽しげに笑う子供・・・、いや女の子だ、女の子の声が聞こえる！！

　窓の外を見ると、

　そこは・・。


　そこで記憶はと切れた。






３
　目を覚ますと崩れかけの、ビルの中にいた。あれ・・・？

　私何してたんだっけ？？

　特に怪我はないようだから、少し散策してみよう。体も縛られてないようだし、私の家はお金持ちなわけではないから誘拐ではないというのが私の推測だ。

ビルの外は昔は都会だったようで、ビルや家、お店などの残骸が残る中に蔦や木や雑草と混沌と印象が目に付いた。

　―にしてもここどこだろう。