ぼく。
ママの限界
またしばらくパパは帰って来なくなった

ママのお腹には赤ちゃんがいる

ぼくはどうしたらいいんだろう

ぼくには何が出来るんだろう

また桜の季節が来た

今年も川沿いの桜がキレイだ

でも今年もお花見に行く事はなかった

ぼくは保育園の年長になった

あと1年で小学生だ

だからママを助ける力が欲しかった

ママの笑顔が見たかった

ゴールデンウィーク

パパが帰って来た

相変わらずぼくは何も聞かない

何もなかった様に振る舞うんだ

ぼくにはそれしか出来なかった

パパが帰って来てから少しして

またママとパパのケンカが始まった

今回のママは今までで一番怒ってる

パパが悪い人を退治する為に隠してた木刀を振り回してる

ぼくの部屋の電気が割れた

ママはふすまを蹴破った

お腹に赤ちゃんが居るのに

ぼくはそんなママが怖くて怖くて

ただ泣いているだけだった

遂にパパがママを押さえつけた

ママは泣き叫んでる

しばらく泣いていたママがぼくの隣に来た

「ショウ、ごめんね」

笑顔もなければ怒ってもない

涙も止まってる今まで見た事のないママが

ママの手でぼくの首を絞めた
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