ヴァンパイアストーリー
―――――朝―――――

「んー!朝か・・・」

この世界ではきちんと朝と昼と夜が分かれている。

私たちヴァンパイアにとっては朝の日光などは嫌なんだが私は違う。

私はヴァンパイアと人間とのハーフ。

お母様は私を生んですぐ他界したそうだ。

ハーフだから全然平気ってわけじゃないが通常よりかはましになっている・・・はず。

日傘なども差さなくても大丈夫だ。

「今日一日どうしようか・・・。とりあえず外に出てみるか」

外には市場などが出ておりちょっとした商店街なものがある。

私もハーフだが、他にもハーフは結構いる。

だからこうやって朝から市場を出す人は少なくない。

「お!アスカじゃねーか!」

「あ、おはよ。カイト」

この男の子は『カイト・リランカ』。

私の幼馴染だ。

カイトもハーフだ。

「そうだ、明日からよろしくな!」

「へ?明日・・・?」

「なんだよー、聞いてねえのかよ。俺も明日アスカと一緒に行くんだよ日本に!」

「え、本当に?」

「なんか王が『アスカ一人では心配だ。誰か連れて行け』って言って俺が選ばれた」

「もー・・・。お父様は本当に心配性なんだから」

昨日一言ぐらい私に言ったってよかったのに。

そんなに心配かな、私のこと。

「それに、アスカは俺の・・・」

「なんか言った?カイト」

「は?ああ、なんでもねえよ」

カイトの顔が赤いのは私の気のせいかな。

熱でもあるんだろうか・・・。
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