ヴァンパイアストーリー
私たちはそのあとも市場あたりをぶらぶらして城へ戻ることにした。

「あー・・・緊張する」

「なんでよ?」

カイトはこの間もお父様に呼ばれてここに来たはずなんだけど。

「やっぱ空気が変わるって言うか・・・とにかくここだけ別世界という感じがするんだよ」

「ふ~ん?」

よくわかんないな。

「それじゃ、ここがお父様の部屋だから」

「お、おう」

「ほら!シャキッとしてよ!」

そしてカイトの背中をバシッと叩く。

あ、叩きすぎた。

「いっ!?」

「ごめん!大丈夫!?力加減できてなかった、ごめん!」

「いやいや、いつつ・・・大丈夫だよ」

本当にごめんねカイト。

と心の中で言いながらお父様の部屋のドアをコンコンと叩く。

「誰だ」

「私です。アスカ・ミリアムです」

「もう一人いるだろ」

「お・・・僕です。カイトリランカです」

カイトはぎりぎり『俺』という一人称を言わずに済んだようだ。
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