夜香花
序章
小さな小屋の中で、二つの影が動いている。
動いているのは確かに二つなのだが、荒い息づかいは一つしか聞こえない。
息づかいは女のものだ。
どうやら情交の最中らしい。
男の上に乗った女が、激しく動いている。
「うう……」
女が呻き声をこぼしたとき、不意に男の手が伸びた。
男の手が、女の肩にかかった瞬間、いきなり闇の中から白刃が突き出される。
男は素早く上体を起こすと、己の上にいた女を引き倒した。
先程まで自分が寝ていたところに女が倒れ、そこを狙って突き出された白刃は、女の裸体に突き刺さる。
何が起こったのかわからないまま、女は絶命した。
男は引き抜かれる白刃を踏みつけ、相手の動きを一瞬封じると、枕元にあった苦無(くない)を放つ。
戸口辺りから呻き声が上がり、何かが駆け出す音がする。
男は傍に倒れる女を踏みつけ、いまだ女の身体に突き刺さったまま残された刀を引き抜くと、一足飛びに戸口まで飛んだ。
研ぎ澄まされた感覚が、人の気配を感知すると同時に、持った刀を躊躇無く振るう。
苦無を肩口に受けて逃げ出していた者の首が、綺麗に跳ね飛んだ。
同時に少し離れた草むらに向け、男は口から何かを飛ばす。
小さな叫び声と共に、黒い影が飛び出した。
影は一瞬で見えなくなる。
動いているのは確かに二つなのだが、荒い息づかいは一つしか聞こえない。
息づかいは女のものだ。
どうやら情交の最中らしい。
男の上に乗った女が、激しく動いている。
「うう……」
女が呻き声をこぼしたとき、不意に男の手が伸びた。
男の手が、女の肩にかかった瞬間、いきなり闇の中から白刃が突き出される。
男は素早く上体を起こすと、己の上にいた女を引き倒した。
先程まで自分が寝ていたところに女が倒れ、そこを狙って突き出された白刃は、女の裸体に突き刺さる。
何が起こったのかわからないまま、女は絶命した。
男は引き抜かれる白刃を踏みつけ、相手の動きを一瞬封じると、枕元にあった苦無(くない)を放つ。
戸口辺りから呻き声が上がり、何かが駆け出す音がする。
男は傍に倒れる女を踏みつけ、いまだ女の身体に突き刺さったまま残された刀を引き抜くと、一足飛びに戸口まで飛んだ。
研ぎ澄まされた感覚が、人の気配を感知すると同時に、持った刀を躊躇無く振るう。
苦無を肩口に受けて逃げ出していた者の首が、綺麗に跳ね飛んだ。
同時に少し離れた草むらに向け、男は口から何かを飛ばす。
小さな叫び声と共に、黒い影が飛び出した。
影は一瞬で見えなくなる。
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