夜香花
「ちょっと! 何で何の反応もしないの! 刀は大事でしょっ! もらっちゃってもいいわけ?」
あまりの反応の無さに、深成のほうがいきり立つ。
噛み付くように叫ぶと、片足を川に突っ込んだ。
が、その瞬間、肩に衝撃が走り、川縁に尻餅をつく。
「いったたたた」
相変わらず刀を握ったまま、深成は打たれた肩を押さえ、傍らを見た。
落ちていたのは、小さな小石だ。
顔を上げると、少し離れた川の中の岩に腰掛けた真砂と目が合う。
「馬鹿か。刀持ったまま水に入るな」
低い声で言う真砂を、深成は、ぎっと睨み付けた。
先の衝撃は、真砂が小石を放ったのだ。
「痛いじゃないよっ! 危ないじゃないか! 何であんたは、もっと優しくできないのっ」
足を水に浸したまま、深成はきゃんきゃんと吠える。
真砂はそんな深成に、はぁ? という顔を向けた。
「何だよ、優しくって」
「わらわを止めるにしても! ちょっと待ってとか、言えばいいじゃん。投げるにしても、女の子に向かって石投げるなんて、顔にでも当たったらどうする気よ!」
「……知っっったことか」
心なしか、いつもの『知ったことか』よりも力が入っている。
まさに『苦虫を噛みつぶしたような』顔で睨む真砂と、しばし睨み合っていた深成は、はた、と気づき、顔を伏せた。
真砂はまだ、裸である。
あまりの反応の無さに、深成のほうがいきり立つ。
噛み付くように叫ぶと、片足を川に突っ込んだ。
が、その瞬間、肩に衝撃が走り、川縁に尻餅をつく。
「いったたたた」
相変わらず刀を握ったまま、深成は打たれた肩を押さえ、傍らを見た。
落ちていたのは、小さな小石だ。
顔を上げると、少し離れた川の中の岩に腰掛けた真砂と目が合う。
「馬鹿か。刀持ったまま水に入るな」
低い声で言う真砂を、深成は、ぎっと睨み付けた。
先の衝撃は、真砂が小石を放ったのだ。
「痛いじゃないよっ! 危ないじゃないか! 何であんたは、もっと優しくできないのっ」
足を水に浸したまま、深成はきゃんきゃんと吠える。
真砂はそんな深成に、はぁ? という顔を向けた。
「何だよ、優しくって」
「わらわを止めるにしても! ちょっと待ってとか、言えばいいじゃん。投げるにしても、女の子に向かって石投げるなんて、顔にでも当たったらどうする気よ!」
「……知っっったことか」
心なしか、いつもの『知ったことか』よりも力が入っている。
まさに『苦虫を噛みつぶしたような』顔で睨む真砂と、しばし睨み合っていた深成は、はた、と気づき、顔を伏せた。
真砂はまだ、裸である。