夜香花
「そういえばお前、何か持ってたな。さっき、何か落ちたぞ」

 真砂の言葉に、あ、と深成は、先程転がった場所に戻った。
 そこに落ちていた小さな包みを取り、それを火に放り込む。

「えへ。楽しみ」

 そう言って深成は、火の前にしゃがみ込んだ。
 そして、ちら、と真砂を見る。

「ねぇ。あんたの腰にある、その印が、忍びの印てやつ?」

 真砂が、指された己の腰に視線を落とし、ああ、と呟いた。

「あんたの党は、皆その印が腰にあるの?」

「腰とは限らん。それぞれさ。それこそ身体を使う女子は、そうそう見えるところにはない。任務に支障があるからな」

「何で?」

 きょとん、と首を傾げる深成に、真砂は冷めた目を向ける。

「こんなところにあってみろ。女技を使ったら、一発で忍びの者だとバレるだろ」

 ぽん、と自分の腰を叩く。
 なおも深成は、首を傾げた。
 女技ということが何を指すのか、いまいちわかってないのだ。
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