夜香花
「俺の家にあった食材に、俺が手を付けないんだぞ」

「わらわが先に取ったからでしょ」

「……ほんっとに、お前は馬鹿だ。本気で言っているのか?」

 心の底から馬鹿にした言い方に、深成は、むきーっと憤慨する。

「ちょっと! いくら何でも失礼じゃないの! おかしいのは、あんたでしょ! 何かにつけて、わらわを馬鹿にして!!」

「馬鹿だから馬鹿だと言ってるんだ。信じられんな」

「もぅっ! いいもんね! あんたなんかに、焼き芋あげないも~ん」

 べぇ~っと舌を出し、深成はぱくりと真砂のほうに差し出していた芋を、口に放り込んだ。
 その深成を、真砂が指差す。

「それだ」

「?」

 もぐもぐと口を動かしながら、深成は突きつけられた真砂の指先を見た。
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