夜香花
---まぁ、顔が綺麗なのは認めるけどさ---

 だが実際にあのときの真砂の所業を見ているだけに、深成は素直に同意できない。
 幼い娘相手でも、全く容赦のない態度だった。

---わらわは、もっと優しい男が良い---

 そんな深成の心の声とは裏腹に、娘たちはきゃいきゃいと、お喋りに花を咲かせる。

「羨ましいわぁ。あたしも、頭領に抱かれてみたい」

「そうねぇ。あの頭領に優しくされたら、もう我を忘れてしまうわ。折角女技を仕込まれても、きっと頭に入らないわよぅ」

 きゃっきゃっと、娘たちは洗濯しながら話し続ける。
 三人いる娘のうち、一人は昨夜真砂に抱かれた娘。
 その他の二人も、すでに女技というものを習っているらしい。

 それにしても、真砂の評判というのは、娘の間ではすこぶる良い。
 もっともそれは、外見の良さのせいのようだが。

---きっとこの子たち、真砂の本性を知らないんだ。あんな、瀕死のわらわを平気で水に放り込むような鬼畜っ。あの子だって、きっと昨日思い知ったはずっ---

 がるる、と茂みの向こうから唸る深成だったが、娘らは嬉々として、あきに詰め寄った。
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