夜香花
---まぁ、孤児(みなしご)だって珍しくはないけどさ---
現に、深成だって孤児だ。
そう思うと、途端に真砂への疑問も、気にならなくなった。
「そういえばさぁ」
ふと、娘の一人が顔を上げた。
「最近、頭領のお側に、何か付きまとってる奴がいるみたいよ?」
「えええ? 何それ。そんな奴、あっという間に頭領に殺されるでしょ?」
寸分の疑いもなく、娘の一人が言う。
真砂に付きまとうなど、あり得ないことなのだろう。
「ああ、もしかして、千代姐さんのことじゃないの?」
「あ~。でも千代姐さんが頭領にべったりなのは、今に始まったことじゃないでしょ。でも頭領にああまでべったりできるのは、千代姐ぐらいなものじゃない?」
深成は顔をしかめた。
千代が真砂を慕っていることは、どうやらこの里では有名のようだ。
---もしかして、公認の仲とか。……あれ、でも前に、真砂は『恋人ではない』みたいなこと言ってたな。おやぁ? そういう仲でもないのに、あいつ、千代に手を出してるのかっ。そうだ、そういやあいつ、それこそこの子にも手ぇ出したじゃんっ。な、何て奴なのっ!---
ぐるぐると考えを巡らし、深成はふるふると拳を握りしめた。
はっきり言って、関係ないことをいろいろ考えたので、先の話題の人物が、実は自分の事だとは気づかない。
現に、深成だって孤児だ。
そう思うと、途端に真砂への疑問も、気にならなくなった。
「そういえばさぁ」
ふと、娘の一人が顔を上げた。
「最近、頭領のお側に、何か付きまとってる奴がいるみたいよ?」
「えええ? 何それ。そんな奴、あっという間に頭領に殺されるでしょ?」
寸分の疑いもなく、娘の一人が言う。
真砂に付きまとうなど、あり得ないことなのだろう。
「ああ、もしかして、千代姐さんのことじゃないの?」
「あ~。でも千代姐さんが頭領にべったりなのは、今に始まったことじゃないでしょ。でも頭領にああまでべったりできるのは、千代姐ぐらいなものじゃない?」
深成は顔をしかめた。
千代が真砂を慕っていることは、どうやらこの里では有名のようだ。
---もしかして、公認の仲とか。……あれ、でも前に、真砂は『恋人ではない』みたいなこと言ってたな。おやぁ? そういう仲でもないのに、あいつ、千代に手を出してるのかっ。そうだ、そういやあいつ、それこそこの子にも手ぇ出したじゃんっ。な、何て奴なのっ!---
ぐるぐると考えを巡らし、深成はふるふると拳を握りしめた。
はっきり言って、関係ないことをいろいろ考えたので、先の話題の人物が、実は自分の事だとは気づかない。