夜香花
真砂は、にやりと口角を上げた。
「おらっ」
「ひいっ!」
ぶん、と思いきり振り下ろされた苦無を、深成は必死で避けた。
「……」
あまりの恐怖に、声も出ない。
ただ深成は、目の前で笑う真砂を、震えながら見つめた。
先の攻撃には、一切の躊躇いもなかった。
深成が自力で避けなかったら、真砂は本気で深成の身体に苦無を突き立てていただろう。
「ほれ。この至近距離で、いきなり攻撃しても、お前は避けることが出来る」
何事もなかったように、真砂はぽい、と苦無を投げて寄越した。
うわわ、と深成は、また苦無を避ける。
かちゃん、と苦無は、深成の足元に落ちた。
「……それは、そんなに凄いことかな?」
しゃがんで苦無を取りながら、深成が言う。
ただ避けているだけではないか。
「お前のような者にしては、まぁ……凄いことなんじゃないか? 現に羽月は、俺が声をかけてから投げた苦無も避けられんかった」
「ああ、あの子……」
「あいつの攻撃はどうだった?」
「?」
意外な質問に、深成は首を傾げた。
「おらっ」
「ひいっ!」
ぶん、と思いきり振り下ろされた苦無を、深成は必死で避けた。
「……」
あまりの恐怖に、声も出ない。
ただ深成は、目の前で笑う真砂を、震えながら見つめた。
先の攻撃には、一切の躊躇いもなかった。
深成が自力で避けなかったら、真砂は本気で深成の身体に苦無を突き立てていただろう。
「ほれ。この至近距離で、いきなり攻撃しても、お前は避けることが出来る」
何事もなかったように、真砂はぽい、と苦無を投げて寄越した。
うわわ、と深成は、また苦無を避ける。
かちゃん、と苦無は、深成の足元に落ちた。
「……それは、そんなに凄いことかな?」
しゃがんで苦無を取りながら、深成が言う。
ただ避けているだけではないか。
「お前のような者にしては、まぁ……凄いことなんじゃないか? 現に羽月は、俺が声をかけてから投げた苦無も避けられんかった」
「ああ、あの子……」
「あいつの攻撃はどうだった?」
「?」
意外な質問に、深成は首を傾げた。