夜香花
「無茶な使い方しやがって」
どっかとその場に座り、真砂は刀の具合を確かめる。
深成は思いきり床に刃を突き立てたが、力が弱かったのだろう、刀は深くは刺さらなかったようだ。
幸い、刃こぼれもない。
「苦無一つとっても、お前はどういうものが自分に合っているか、すぐに理解する」
刀を鞘に納めながら、真砂は静かに言った。
「そんなの、持てばわかるじゃん」
いまいち馬鹿にされているのか、そうでないのかわからず、深成は相変わらず口を尖らせながら言う。
が、真砂は軽く首を振った。
「違うな。その苦無を見てみろ。何もしてない。自分の手に、どういうものが合うのか、わかってないのさ」
「あの子も、わらわとそう変わらないぐらいでしょ? まだこういうもの使い出して、間もないんじゃないの? そのうちわかるのかもよ?」
不意に真砂が、じぃっと深成を見た。
「お前は、細川屋敷と里を、行ったり来たりしていたのだろう? 爺に教わったという武芸も、そう身を入れて教わったわけでもあるまい」
「ちゃんと真面目に教わったよ! 縄抜けとかさ」
「縄抜け? でもお前、俺がお前を捕まえたとき、全然抜けられなかったじゃないか」
また深成は、うぐっと言葉を詰まらす。
どっかとその場に座り、真砂は刀の具合を確かめる。
深成は思いきり床に刃を突き立てたが、力が弱かったのだろう、刀は深くは刺さらなかったようだ。
幸い、刃こぼれもない。
「苦無一つとっても、お前はどういうものが自分に合っているか、すぐに理解する」
刀を鞘に納めながら、真砂は静かに言った。
「そんなの、持てばわかるじゃん」
いまいち馬鹿にされているのか、そうでないのかわからず、深成は相変わらず口を尖らせながら言う。
が、真砂は軽く首を振った。
「違うな。その苦無を見てみろ。何もしてない。自分の手に、どういうものが合うのか、わかってないのさ」
「あの子も、わらわとそう変わらないぐらいでしょ? まだこういうもの使い出して、間もないんじゃないの? そのうちわかるのかもよ?」
不意に真砂が、じぃっと深成を見た。
「お前は、細川屋敷と里を、行ったり来たりしていたのだろう? 爺に教わったという武芸も、そう身を入れて教わったわけでもあるまい」
「ちゃんと真面目に教わったよ! 縄抜けとかさ」
「縄抜け? でもお前、俺がお前を捕まえたとき、全然抜けられなかったじゃないか」
また深成は、うぐっと言葉を詰まらす。