夜香花
「目の前で仲間殺されて、あんた、黙ってられる?」

「……はぁ?」

 真砂が、思いきり顔をしかめて深成を見た。
 その表情に、思わず深成は気圧される。

「わ、わらわがあの子を殺したら、あんた、きっとすぐにわらわを殺すでしょ。あんたはあの子がわらわを殺せると思ったから、あの子にわらわを攻撃させたんでしょ?」

「さっきも言っただろう。お前と羽月は、互角ぐらいだと思っていた。どっちが勝つかなんて、わかるわけないだろ」

「そんな、もしわらわがあのとき攻撃してたら、どうすんだよ。あんた、仲間を殺されてたんだよ?」

 また真砂は、訝しげな顔をした。

「だったら何だ? その前に、仲間って何だ」

 思いもかけない答えに、深成は口を開けたまま、茫然と固まった。
 あの羽月という少年が深成に向かってきたのは、真砂を守るためだ。

 この里の少年は、同じ一党のはず。
 ということは、仲間ではないか。

「別にお前があいつを殺したって、構わんよ。お前が殺られても構わんかったが」

 さらに耳を疑うようなことを言い、真砂はごろりと横になった。
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